前回、何故メモリランクの記事を書いたかというと、今回のネットブックAcer D255やD257のメモリ交換の記事を書く予定だったからだ。
最近、立て続けにAspireOneのメモリ交換の注文を受けた。
どちらもPineTrail / 45nmのAtomNシリーズのCPUを搭載したネットブックタイプのPC。
D255Eは1Core / 1HTのAtom N455を積み、D257は2Core / 2HTのAtom N570である。
チップセットは1チップのNM10(PCH)で、メモリコントローラーとビデオコントローラーは当然CPU側に内蔵されている事になる。
両CPU共にメモリコントローラーはDDR3メモリ対応で、今回作業したモデルは標準で両方共DDR3-1333 1Rx8 1GB DIMMを搭載していた。
OSはWindows7 Starterで、このバージョンはバンドルしてPCを販売するには多くのハードウェアにスペック制限をしなければならない。
Starter EditionはOS側で物理メモリに2GBの制限があるが、Atom Nシリーズもメモリコントローラー側で2GBの制限がある。
どちらにしても2GBがリミットになってしまうわけだ。
下の画像はAtom NシリーズメモリコントローラーのDDR3 DIMM対応仕様である。
(N450 / N470はDDR2のみのサポートになる)
DIMMスロットは2つまでサポートされている様だが、この機種は1スロットしか無い・・。
表から分かるように、メモリコントローラー側で標準サポートされている2GB DIMMは以下の2通りの仕様になる。
DDR3-1333 2Rx16 2GB DIMM 8チップ両面実装 (片面4チップ×2)
DDR3-1333 1Rx8 2GB DIMM 8チップ両面実装 (片面4チップ×2)
ちなみに表の「Raw Card Type」とはJEDECで規定されているDRAMチップのDIMM実装方法で、DDR3 / SO-DIMMの場合はType AとType Bは違いは無いようで、片側4チップで両面実装するという規定だ。
DDR3 / SO-DIMMで片側のみ実装はRaw Card Type C、両面16チップはType E - Fで規定されている。
どうだろうか?
相性問題を片面実装/両面実装やバンク(ランクと同義として)で論じるのは、ある意味違っているというのを分かって頂けると思う。
たまに「コントローラー側で2RankのDIMMをサポートしていない」と書いてある掲示板や記事を見ることがあるが、4ランクは別として基本的にアンバッファータイプのDIMMでも2ランクのタイプは必ず市場に出回るので、メモリコントローラー側で2ランクDIMMをサポートしないと言う事は、まずあり得ないと思う。
もしサポートしなければ、ユーザーは相性問題で大混乱になってしまうだろう。
あと、勘違いしないで頂きたいのは、各PCメーカーがBIOSや基板設計をカスタマイズすれば他の仕様のDIMMも動作が可能になると言う事だ。
JEDECやメモリコントローラーの初期仕様書が謳っているのはあくまで「基本的な仕様」であり、秒進分歩のPC業界では、仕様や対応が刻々と変わって行く。