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DDR3 メモリモジュールのランクとは? ①

今回はちょっと毛色の違う、最近気になっている事を書いてみようと思う。
各マザーボードベンダーから次期「IvyBridge」アーキテクチャ対応のIntel 7シリーズチップセットを搭載した製品が次々とリリースされるようになった。

一方で、新しいモノ好きでベンチマークの大好きな方々にとって、現行のSandy Bridge-E/4チャンネルメモリアクセス対応のIntel Corei7/3000番シリーズのCPUは価格は別として使ってみたい一品(逸品?)であろう。

特に気になるマザーボードはAsusから発売されているメモリスロットが8本搭載されているP9X79というモデルだ。(このモデルだけではなく、他メーカーにも同様のモデルはある)

ファイル 94-1.jpg

CPUソケットを挟んで完全左右対称に4本づつスロット(ソケット)が並んでいる。そしてASUS側では最大64GBのメモリ搭載が可能と保証している。
ここで問題になるのがDDR3/DIMMモジュールの取り付けパターンであり、メモリモジュールの「ランク」という規格である。

ところで、DIMMの「ランク」とは何なのだろうか・・

あまり「これだ」という解りやすいサイトが見当たらないので、あくまで個人的な解釈で解りやすく説明してみたいと思う。
(解り難くても突っ込みは入れないでくだされ~)うぇーん

まず、「ランク」の事を一般的に理解しやすい「片面/両面実装モジュール」と言う事と同義の様に表現する方がいるが、それはある意味間違いだと思うし、「ランク」を「バンク」と考える事もバンクはDRAMチップ内のセル構成グループの単位で使われたりする為、多少誤解を与える表現だろう。

DIMM(Dual Inline Memory Module)は基本的に64bitのバス幅を持ち、CPUのIMC(メモリコントローラー)やチップセットのMCHに組み込まれたメモリコントローラーはメモリモジュールと直接64bit単位でデータの受け渡しを行う。(アンバッファの場合)

1枚のDIMMの表面(表裏関係無く)には、その64bitの単位を構成するSDRAM(同期型DRAMチップ)の集まり(グループ)が有り、グループが1つ組み込まれたものをシングルランク(1R)モジュールと言い、64bitのグループが2つ組み込まれたものをデュアルランク(2R)モジュールと言う。(チャンネルでは無いので誤解しないように。)

その他にも4つのグループが組み込まれたクアッドランク(4R)モジュールという規格がDDR2 DIMMにはあるが、サーバー用途のECCモジュールに限られる。DDR3規格では現在のところ未定義のようだ。

そして、このグループ(Rank)のチップ構成を決めるのが、各DRAMチップの密度(容量)と各チップから出ている信号線の本数(チップのデータ幅)の相関関係になる。

現在のメインストリームでは、DRAMチップの密度は1Gb(ギガビット)または、2Gbの物が殆どで、バイト換算では各128MB(メガバイト)または256MBの容量のDRAMチップがモジュール上に実装されている。
240PinDIMMの場合、規格上は8Gb(1GB)チップまで開発される予定であり、現在4Gb(512MB)チップは8GBモジュールとして、すでに販売されている。

各DRAMチップからはDDR3の規格上、現時点では8本(x8)又は16本(x16)の信号線が出る事になっていて、各信号線は1bitのデータ幅出力で1チップで合計8bit又は16bitのデータ幅を持つDRAMがある。(DDR2の規格ではDRAMの容量によりx4のチップがある)

以上の事からDDR3アンバッファードDIMM(いわゆる一般のメモリモジュール)で8bitシグナルラインDRAMが使われているDIMMは、64bit÷8bit= 8個のDRAMチップでシングルランク(1R)のグループが形成されている訳だ。

皆さんも手持ちで使っていないDDR3メモリモジュールがあれば見て欲しい。
ラベルのモジュール規格の部分に「1Rx8」とか「2Rx8」という表記がされている物があると思う。

ファイル 94-2.jpg

1Rx8モジュールの場合、「これはデータ幅8bit(8本の信号線を持った)のDRAMチップを使って1R(ランク/64bit)を形成しているモジュールです」という事になる。

現在のチップ密度とデータ幅から考えると1Rや2Rは「片面/両面」の表記や、「1バンク/2バンク」表記と完全に違っているとは言えない所があるが、正確な表現ではないという事を今後の為に理解しておいた方が良いのではないだろうか・・。

この事がいわゆる「メモリの相性問題」だと勘違いしているユーザーがネットの掲示板を見ていても、とても多い様な気がする。?

長くなってしまったので、続きは次回に・・・汗

Dell Inspiron ACアダプターを認識しない

今回はInspiron5150で起こった不具合だが、Dell製で他のノートPCでもよく起こる不具合のようだ。
PCにACアダプタを繋いで起動してもBIOS起動後に下の画像のようなメッセージが表示され、バッテリーが充電されない症状。

ファイル 93-1.jpg ファイル 93-2.jpg

BIOS画面でもバッテリーの状態を示す画面でACアダプターが認識されずタイプが「Unknown」と表示されている。

DellのACアダプターは3Pinのモノが多く、コネクター部分の真ん中細いセンターピンがACアダプターのID情報を認識するためのラインになっている。
ACアダプターの内部にはID情報を提供する為のEPROMが組み込まれていて、起動時にPostControllerがこのチップにアクセスしてID情報を読みに行く仕様になっている。

ファイル 93-3.jpg

分解すると分かるが、一件普通のトランジスタのように見えるTO-92パッケージの部品がEPROMで、とてもメモリには見えない。
このチップはMAXIM製(旧DALLAS)DS2501という512ビットの容量タイプだが1MビットのDS2502という仕様もあるようだ。

売りは「1wire-Protocol」という1本の信号線でデータ受け渡しを行いデバイスの制御が出来る事らしいが、DELL製ACアダプターの場合これが結構仇になっているのも事実。

このアダプターの場合、信号線はEPROMに直結になっていて保護回路が入っていない為に、静電気など過電圧に弱くROMが飛んでしまう事が多いとの事。
海外ではこれがクレーム訴訟になりかけたそうだ。

今回もまさに同様の症状・原因で、互換ACアダプターに交換すると問題無く動作した。

ファイル 93-4.jpg ファイル 93-5.jpg

ちなみに、このチップはEPROMなのでROMライターで情報を書き込まなければ意味が無く、チップを交換しただけでは正常に動作しない。

間違ったACアダプターを繋いでしまうのを防ぐ手段としては、中々面白いアイデアだとは思うが・・汗
ユーザーとしては迷惑千万・・ですね。♪

dynabook B351 水濡れ 起動しない

今月は何故か多いのが、飲み物をこぼし起動しなくなり何とかして欲しいという修理案件。
今回のDynabookのメーカー修理の見積りは、M/B交換で6万だったそうだ。汗

ファイル 92-1.jpg ファイル 92-2.jpg

零したのはジュース系等?らしい。塩分が多くないのが救いになるか?
とりあえずM/Bを洗浄剤で洗い流した後十分に乾燥させる。

ファイル 92-3.jpg

キーボードは交換することになったが、無事に起動することが出来た。

飲み物や液体をPCに零した時には、とにかく直ぐにACアダプターを抜いてバッテリーを外す事が最優先。

その後に、乾燥させないようにラップで包むか密閉出来るビニールに入れ、早急に近くの修理専門業者に持ち込むことが望ましい。
間違っても「電源が入るかな?」などと思ってまた起動させようとは思わないで欲しい。

特に「塩分を含んだ飲み物や汁物」は「甘い飲み物」よりリスクが高い。
これはイオンの導電率に関係することだが、排気ガス測定機器で有名な堀場製作所のサイトを見て頂ければ、ご存じなかった方でも何となく解って頂けるはず。

カップラーメンを食べながらノートPCを操作するのは厳禁なのです。♪

VAIO VGN-SZ53B 画面に縦線が入る

2007年に発売されたCore2Duo/T5500+945Express搭載のVistaモデル。
VGAチップは別途NVIDIA GeForceGo 7400を積んでいて、動作モードによって945のVGAと切り替えて動作するらしい。

スペックはこちらから

ファイル 91-1.jpg ファイル 91-2.jpg

Vistaはブルースクリーンで起動しない。BIOSは設定画面に入れるが赤い縦線が入る状態。(写真参照)
マザーボードはご覧のとおり、所狭しと、オンボードチップがひしめき合っている。4層基板なのかな?
左側の排熱ファン部分のヒートパイプの下がNVIDIA7400で、CPUは右側の裏側に付いている。

原因はGPUの半田クラックは確実で、再リフローの修理をする。
かなり他の半導体が隣接して取り付けられているので、マスキングは丁寧に時間を掛けた。

ファイル 91-3.jpg ファイル 91-4.jpg

再リフロー後は、無事に起動して縦線は出なくなった。

持ち込まれた時には、お客様がリカバリーをしようとして途中でブルースクリーンになり断念した状態だったので、再度DtoDインストールをしなおした。

ファイル 91-5.jpg

修理をしていて感じたのだが、この機種はメンテナンス性が最悪。
パーツのレイアウトやケーブルの引き回し方、コネクターの位置などなど、分解していても手順をキチンと覚えておかないと、組み直した後にビスが必ず余ってしまう。
まあ、ちゃんと記録しないで分解する私に責任があるが・・汗

Antec Aria AR300 電源ユニット修理

Antec製キューブ型MicroATXケース「Aria」に付いている300W出力の電源ユニット。モデル番号はAR300。
CPUファンに当たる部分がカットされている特殊形状で、通常規格の電源では置き換えが出来ないという理由で修理する事になった。
電源ボタンを押しても無反応の状態。

ファイル 89-1.jpg

特殊法人さんが光学機器メーカーから購入した特注PCらしく、解析ソフト等がインストールされ、検査機器接続用のシリアルボードなども増設されている。
MBは珍しいIntel製D101GGCでCPUはPen4の630(530かな?)だ。
うーん。どっちにしても厳しそう。ドクロ

分解してみると、酷いもんだ。
ツェナーダイオードは焼損し、チップ抵抗も飛んでいる・・汗
おまけにランドが浮いて剥がれてる・・うぇーん

ファイル 89-2.jpg ファイル 89-3.jpg

その他にも、5VSBの平滑コンデンサーを始め、周辺部の電解コンデンサーも全滅で交換。
幸いなことに剥がれたランドは浮いていただけで、まだパターンに繋がっている状態。1層基板なので何とか修復が出来た。

ファイル 89-4.jpg

交換したのは下記のパーツ。
焼損したチップ抵抗は余裕のあるモノに変更した。
(手持ちが1Wのものしか無かったので・・)

R29 / 5.6Ω 1206
ZD4 / 1N4746 18V 1W
EC4 / 100μF 50V
EC3 / 22μF 50V
EC6 EC7 / 1000μF 10V

交換後は問題無く起動、復活した。
各電圧は安定しているので問題ないと思われる。
どうやら、この電源はCWTのOEMのようだ。Antecで作っているものではないらしい。他のAntecの製品も自社でなくCWT製なのか?滝汗

ファイル 89-5.jpg

動作試験中の写真。ブルーのLEDイルミネーションがとても綺麗。
ケースもしっかりとアルミ製で作られていて、剛性がある。
かなり静かなPCが組める感じのケースだ。